全州八景、寒碧堂
韓屋村から全州川に沿って歩いていったら、程近いところに寒碧堂がある。寒碧堂は、全羅北道有形文化財第15号で、
李氏朝鮮の建国功臣である月塘崔霮(チェ・ダ厶)が僧岩山の山麓の絶壁を削って別荘に立てた楼閣だ。
南原の廣寒樓(クァンハンル)、茂朱の寒風樓(ハンプンル)とともに湖南地方の三寒と呼ばれる寒碧堂は、
楼閣の孤高の姿と風景の調和が美しく、全州八景になっている。
断崖の上を守る孤高な姿
寒碧橋を通り全州川が丸く曲がるところに向かうと、僧岩山の絶壁の上の鬱蒼としている木々の間から寒碧堂の姿が見える。絶壁の上を守っている孤高な楼閣の姿に口がぽかっと開き、昔の祖先がどれだけ風流を重んじたかについて改めて考えてみる。美しい風景を感想したくて絶壁を削って楼閣を作る情熱なんて! 祖先の努力のお陰で、現在の私たちがこんな素敵な絶景が見られると思ったら、感謝の気持ちしかない。
橋の上から全州川を見下ろしたら、川水の上に寒碧堂がくっきりと映っている。そちらに向かっている足に期待感がいっぱいだ。寒碧堂に上って見下ろす風景は、またどれだけ美しい姿をしているのだろうと足を急がせた。一段、一段と石階段を登る足が早くなる。
楼閣から眺める全州川の風景
石階段を登りきったら、うれしい寒碧堂の扁額が見える。ワクワクする気持を落ち着かせながら靴を脱いで寒碧堂のなかに入ったら、緑陰でいっぱいになっている。僧岩山の山麓の鬱蒼とした木々が陰を作って全州川の水面を緑色に染めている。手すりに近づき全州川を見下ろした。<楼閣の下に一年中きれいな水が流れるが、岩にぶつかって白い玉のように散らばる水がしびれるほど冷たいといい「寒碧堂」と名付けた。>という説明文を読み、胸を弾ませてずっと眺めていたが、残念なことに玉のように散らばる水は見られず、水面は穏やかで平穏なばかりだ。
今の全州の寒碧堂景色もこれだけ美しいんだが、絶えなく詩人が訪れて詩を詠み風流を楽しんだというあの昔には、どれだけうつくしかったものだろう。全州八景の名声にふさわしく四季ともに美しい寒碧堂にきて、昔の祖先のように風流を楽しみながら癒しの時間を過ごしてみるのも良いのではないだろうか。
- 場所
- 2 Girin-daero Wansan-gu, Jeonju, Jeollabuk-do 地図を見る